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「鼎泰豐(ディンタイフォン)」の何がすごいか
いつも、「Next鼎泰豐はどこ?!」みたいなことを聞かれるのですが
答えに迷うのは「鼎泰豐のSOPが確立され洗練されていて、あの安定感に勝る小籠包屋さんを紹介するのが難しい」から。
台湾にはたくさん美味しい小籠包屋さんがあるのは事実ですが、
いつ行っても同じレベルの美味しさが期待できるって言うのはすごいことだと思います。
職人商売ですから、腕の立つ小籠包の職人さんが転職してしまったり
独立して退職しちゃうと、急に味が変わってしまうというのは、本当に良くある話ですし避けられません。
マッサージ屋さんや美容室・エステも同じですよね。
そこへ来てすごいのが、鼎泰豐王国を築いた楊紀華 氏。
たまたま本屋さんで「鼎泰豐」についての新刊を見かけたので、ちょっとご紹介してみたいと思います。
引用:『鼎泰豐,有溫度的完美』
http://www.bookzone.com.tw/event/bcb529/index.asp
筆者:林靜宜
(2014年7月30日初刊)
「鼎泰豐」の許可を得て、500日に渡る鼎泰豐への取材を通して書かれた一冊だそうです。
※すべて私の拙い中国語レベルでの意訳になりますので、間違いもあるかもしれませんが
その際はご容赦くださいませ。また、お知らせいただけたら修正致します!
読後、いつも「鼎泰豐」へ行って感じていた点みたいなものが
つながって線になったような爽快感でいっぱいです。面白かった〜
「鼎泰豐(ディンタイフォン)」の今
- 2013年、台湾9店舗に547万人が訪れている。これは2011年の331万人と比較しても65%増となっている。
- 2013年時点での総従業員数は1,503人。
メニューについて
- 「鼎泰豐」の小籠包は”黄金18摺”と異名を取るほど完璧な美しさを保っている。ちなみに“18摺”はひだが18あることを差している。
- ひだだけでなく、皮や中の餡の重さまでグラム単位で指定されている。
- 大スターメニュー「元盅雞湯」は丁寧に捌かれ“光滑肌(鶏)”となったところからスープで煮込まれ、100時間蒸されて完成する。火にかける時間は、一分長くても少なくてもならない。
- ここ2年ほど前から減油や減塩、糖分カットを目指しており、たくさんのメニューにおいてそれを成功させている。(酸辣湯の醤油を約13%、青菜炒めの塩分を約10%、チャーハンの塩分を約6.25%カットした。)
調理について
- 「鼎泰豐」最高料理指導責任者の言葉「美味しいということだけでなく、いつでも品質を一定に保つことを目指している」
- セントラルキッチンのシェフたちは効率的な作業ができるような体制が整えられており、一日の時間を4クラスに分けられ、1テーブル6〜7人、経験豊富なシェフと経験が浅いシェフが平均的に配置される。職級によって完成率を細かく計算され、目標とその完成率によって奨励金が与えられる。
- もし今日の青菜炒めがしょっぱいと言うお客様がいたら、その塩分を測り、マネージャーとシェフが試食する。
ビジネス面について
- 1996年に日本の東京・新宿高島屋へ出店したのを皮切りに、今や全世界に100店舗を展開している。
- 店長の年収は約200万元以上。
- ホールスタッフは月給3万9,000〜4万3,000元で、語学手当ほか各種手当報酬などを合わせたら軽く5万元を突破する。
- 技術職の点心調理師は、平均一年ほどかけて一人前になり、約3万4,000〜3万7,000元ほどの月収となる。
- 「鼎泰豐」の人事コストは業界平均の約25〜35%を大幅に上回り、50%を超える。
- 復興店の椅子を固定式36席から可動式の34席に減らした結果、一日の売上が3万元増加した。
- 食品については、自社検査のほか、第三者機関への検査委託費用が年間およそ150万元。
- SOPからSQP(Q=Quality)、そして独自のDPS(DinTaiFung Prefession System)思考法というのが確立されている。
- 店内外の窓ガラスの拭き方まで細かくSOP化されており、動画で社内プラットフォームにアップしてある。
- 妊婦にはお茶(カフェインが含まれているため妊婦には不向き)を出さずに、温水を出すということもSOPに入っている。
- 2013年、トムクルーズが映画『オブリビオン』の宣伝イベントで「鼎泰豐」に来店し、小籠包作りを体験したことで話題となった。
- セントラルキッチンは冷凍食品市場へも乗り出しており、1,000万元事業に育っている。
- 全ブランドを統括する本部では、100人近いグループでビッグデータをもとにマーケティングを実施している。
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「一人ひとりが演出の一部であり、どんな仕事を担当していても、サービスの現場が最後の頼みの綱なのだ」と記載されていました。
そもそも人材難の台湾ですが、サービス業での人材獲得が最も困難だとされていて、サービス業のレベルは本当に…という感じなのですが(個人の感想です)、鼎泰豐に行って不快な思いをしたことは一度もありません。これがどれだけすごいことなのか、在台経験のある方ならきっとお分かりいただけることと思います。
だから、大切なお客様をお連れするのに本当に間違いのないお店としてブランディングできていますよね。。
楊紀華 氏は台北101への出店が欧米や中国大陸市場にとって効果的だったことについて「もし台北101店を出店しなかったら、トムクルーズ氏の来店はなかっただろう」と語ったという。
▼こちらがその時の動画
社風について
鼎泰豐のサービスの質が高いのは、そもそもスタッフさんたちが会社に対して満足していたり、鼎泰豐で働くことを誇りに思われているからなのだろうなと感じさせます。これを台湾で実施することがどれだけ難しいか…本当にいつもすごいなと思いながら見ていますが、その秘訣はきっとこの福利厚生にあるのかもしれません。
日本語対応できるスタッフさんがバッジをつけていらっしゃいますが、外国語ができると手当が付くとか付かないとか、聞いたことがあります。
- 女性スタッフが多いため、定期検診のほかに専任の医師による婦女保険口座が開かれる。
- 学校の休暇中で子供を見てくれる人がいない場合は、会社の会議室が開放され、子供を連れて行ったり、店内で昼や夜ご飯を食べさせても良いことになっている。
- 「鼎泰豐」でいちばん難しいのは、社員食だと言われている。
- もしお手洗いに行った後に手を洗うのを忘れたら、見つかった後に一律で免職処分となる。
(代表の楊氏はたいていセントラルキッチンで昼食を取るため、プレッシャーが強い。また、300人ほどの従業員の食事を日々メニューを変えてバランスよく素早く調理する必要がある。)
最後に「鼎泰豐」楊紀華 氏が唱える “経営八則”
- 1. 留まることなく顧客満足を追求する。
- 2. 全力をもって品質第一を成し遂げる。
- 3. ブランドと商売上の名誉は永遠に上を目指す。
- 4. 三つの心:シンプルな気持ちで店を営む/集中して細かいことを把握する/分け合う気持ちで社員と酸いも甘いも共にする
- 5. 三方良し:品質良し/お客様に良し/社員に良し
- 6. 三つの急がないこと:店舗拡大を急がない/利益追求を急がない/広告宣伝を急がない。
- 7.「花が芳香であれば、蜜蜂は自分からやって来る」。ものが良ければお客様は来てくれる。
- 8.「誠実」こそ家訓であり、商いの道であり、ルールである。
以上、引用ばかりでしたが、私の周りには鼎泰豊ファンが多いので、鼎泰豊へ行くのがもっと楽しくなったらいいなぁ〜と思って書きました。
まぁこの本を読んでからもちろん鼎泰豐が食べたくなり、
速攻お店に行きましたよ。。。笑
忠孝店へ行ってみたら、忠孝店はなんと、2014年9月14日(日)をもって閉店するそうです。
代わりに同9月16日(火)に、中山駅の三越に新店がオープンするそうです。
ネット上ではこの話題について、「不動産の更新の時期が来たからだ」、
「もともと鼎泰豐はどこかへ移ろうとしていた」
「ちょうど中山の三越にいい物件が見つかったからだ」などなど・・・
いろんな憶測が飛び交っているようですね〜
「鼎泰豐」の基本情報
▼公式Webサイト(日本語あり)
http://www.dintaifung.com.tw/tw/default.htm
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