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書籍『自分の小さな「箱」から脱出する方法』との出会い
これまでの人生で、何人もの素敵な人に出会ってきました。
その度に、「自分とあの人は思考回路が違っているようだ。どうやったらあんな風になれるんだろう?」と何度も考えました。
「あんな風に考えられるようになれば、私の人生はもっと豊かになれるかもしれない」という風に。
もちろん「私はどうしてこんなにダメな人間なんだ」と落ち込むこともしょっちゅうです。笑
離れたくてもなかなか縁が切れない、すでに私にべったりまとわりついている厄介な考え方。
これを大きく転換できるヒントが詰まった本に出会いました。
もしかしたらこのブログのテーマである「台湾」とは全く関係ないように見えるかもしれません。
でも、この本に書かれている”人や物事に対しての考え方”は、
実は、台湾で暮らしたり、海外で仕事をするというシチュエーションも含めて、とても参考になるのではないかと思います。そして子育てにも。
だから、自分がこの本を消化吸収するためにも、この本について書いてみようと思います。
相手が悪いと思っている私
”自分を良く見られたい”という欲求は、ここまで無様な姿をさらけ出している私でさえも、しっかりあります。
でも正直に白状すると、生きて行くうえで、相手の悪いところを見つけて自分を正当化するようなシーンはいくつもありました。そして今も時々。
「自己欺瞞(ぎまん)」:自分が問題を抱えているということが、自分には見えていない状態
哲学で「自己欺瞞(ぎまん)」と呼ぶ状態があるそうです。
問題がある人物自身には、自分に問題があるということが見えなくなっているという状態のことで、この本ではその状態を分かりやすく「箱に入っている」と表現しています。
言葉にするとつかみにくいかもしれません。
私も、しっくり来たのは具体的なエピソードで箱に入っている人の状態を紹介された時でした。
長くなりますが、ここからは本に書かれていた事例を引用しながら、「箱」について自分なりにまとめてみたいと思います。
「自分がすべきこと」に背く 自分への裏切り
自分が他の人のためにすべきだと感じたことに背く行動を“自分への裏切り”と呼ぶ
[例A]バドという実在するこの本の登場人物が、生後四カ月の赤ちゃんデイビッドが午前一時頃に泣き出した時、「自分が起きてデイビッドをあやせば、妻は寝ていられる」と思ったものの、自分が感じた通りには動かなかった。ベッドに入ったまま、息子の泣き声を聞いていた。
[例]ケイトという実在するこの本の登場人物が、NYのロックフェラーセンターでエレベーターに乗ってドアが閉まりはじめたとき、誰かが角を曲がってエレベーターのほうに走って来るのが見えて「ドアを開けてあげなくちゃ」と思った。が、そうはせずに、ドアが閉まるのにまかせた。
人間誰しも箱の外にいて、他の人々を人間として見ているときには、基本的にこういった感情を持っている。自分同様他の人たちにも、望みやニーズや心配や恐れがあるんだという感覚を。
そう思っているからこそ、折にふれて、他の人に何かしてあげたいと思う。
手助けしたいと思ったり、その人たちのためにできることをしてあげようと思ったりする。
自分を裏切った人間は、被害者の自分を正当化するために、相手のすべきことを責める
いったん自分の感情に背くと、周りの世界を、自分の裏切りを正当化する視点から見るようになる。
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[例A]赤ちゃんが泣いているのに気付かない妻のナンシー。彼女の横でバドはこう考え始める。
「泣いている子どもを放って狸寝入りをしているのか?
自分は彼女を思いやって起きようとしてまでいるのに。
非常に怠惰で、配慮に欠けていて、こっちがなにをしてやっても満足しない、ひどい妻だ」と思い始める。
自分は「明日も大事な仕事があるから眠らなければならないのに、眠らせてもらえないかわいそうな男だ」
「赤ん坊の泣き声を聞きつけるだけの敏感な耳も持っているいい父親だ」
「自分は勤勉で公正で敏感ないい父親であり、こんな妻に我慢しているいい夫だ」
→だから、「自分は起きて赤ちゃんをあやさなくて良い」と結論付ける。
ポイント
バドははじめに「妻に手を貸さなくては」と思った。
その時点では妻の欠点はバドが手を貸さない理由になっていなかった。
バドが自分の感情に背いたときにはじめて、手を貸さない理由になった。
自分の行動を正当化するために、妻の欠点(それが的を得ているかどうかは別として)を持ち出した。
人はこうして箱に入り、自分に都合のいい考え方を始める
周りの世界を自分を正当化する視点から見るようになると、現実を見る目がゆがめられる。
したがって、人は自分の感情に背いたときに、箱に入る。
[例A]妻のナンシーを見る目がゆがんだと同時に、バドが自分自身を見る目もゆがんでしまった。
バドは、自分が自分で思っているほど勤勉で、重要で、公正で、敏感ではないのではないか。
奥さんは実際のところ、そこまで怠惰で、配慮に欠けていて、バドがなにをしてやっても満足しないのだろうか?
箱の中に入ったバドは、奥さんの欠点を大げさに見ると同時に、自分の欠点は思い切り小さく、長所を大げさに見始めている。
「わたし」を怒らせる相手が悪い
箱の中に入ると、感情の面でも相手を責めるようになる。
「あんたがイライラさせるから、私はイラつくんだ。あんたが怒らせるようなことをするから、私は怒るんだ」
ときが経つにつれ、いくつかの箱を自分の性格と見なすようになり、それを持ち歩くようになる
自分の感情に背くと、自分を正当化するような見方で自分自身を見るようになる
[例A]バドは自分を”よき夫”だと思う
[例B]トムは自分が”どんなことでも知っている”と思う
そしてそのイメージを、状況が入っても持ち続ける=箱の中へ入りそれを持ち歩く
[例A]バドは”よき夫”というのは自分の性格だと自覚する
[例B]トムは自分が”頭が切れて知識が豊富”だという自己正当化イメージを持っている
人をまっすぐ見られず、自分で作り出した自己正当化イメージを通してしか見られなくなる
[例A]バドは、妻は自分が”よき夫”であることに感謝をしない、欠点だらけだと見始める
[例B]トムは、他の人のことを見下している
相手がその自己正当化イメージを脅かすような動きをすると脅威だと感じる
逆に自己正当化イメージを強化してくれる人のことは味方だと感じる。そのイメージに取ってどうでもいい人のことは、どうてもいいと見なす。
[例A]バドは、妻から何か不満を言われた時、それを聞き入れずあっさりと払いのける
[例B]トムは、誰かから自分の知らなかったことを持ち出されると、腹を立てて相手のあらを探そうとする→次に新しいことを思いついた時、人は彼のところには行かなくなる→結果的に、新しいことを学べない
自分が箱の中にいることによって、他の人をも箱に入れてしまう
[例C]ケイトの息子18歳の息子ブライアンは、しょっちゅう夜遅く帰って来る
↓
ケイトは、そんな息子ブライアンに対して箱の中に入っている
↓
ケイトは、息子のことを、無責任で礼儀知らずでやっかいものだと感じている
↓
ケイトは、息子を厳しく躾ようとする、批判する、監視する
↓
息子ブライアンは、ケイトに対して箱に入る
↓
息子ブライアンは、ケイトのことを独裁的で優しさに欠けて、口うるさいと感じる
↓
息子ブライアンは、家に早く帰ってきたくなくなる
↓
お互いに、実は相手にさせたくないと思っていることをさせようとするようになる
箱の中にいると、互いに相手を手ひどく扱い、互いに自分を正当化する。共謀して、互いに箱の中にいる口実を与え合う
[例C]ケイトはある日の夜、息子に夜10時30分までには帰って来るように伝えた
↓
息子が出かけて行った後、ケイトは”無責任な息子”にイライラしている
(息子には責任ある行動をし、約束を守り、人に信頼される人間になってもらいたいと思っている)
↓
息子が10時29分に帰って来て、「ほら、約束守ったろ」と言う
↓
ケイトは「あら、ぎりぎりだったわね」と言う(息子が責任ある行動をとっても、そのことを認めてあげられない)
箱の中に入っていると、自分が一番望んでいると考えているものより、さらに必要なものが生まれる。
箱の中にいると、自分がほんとうに求めているものが見えなくなる。
箱の中にいたケイトが何よりも求めていたのは、自分が正当化されることだった。
自分がずっと息子のことを責め続けていたとしたら、自分が正しくあるためには、相手が間違っていなくてはならない。
自分が箱の中にいると、相手が問題を起こす必要が出てくる。
(以上、すべて 書籍『自分の小さな「箱」から脱出する方法』 からの引用+個人的なまとめ)
この本『自分の小さな「箱」から脱出する方法』について
ここでは、自分が読み返して内省できるようにまとめました。
まったくうまくまとめられた気はしないのですが、
この本を必要としている方に、少しでも、この本の魅力が伝えられたでしょうか?
本は280ページあるので、ここに書いてあることはほんの一部です。
そして、感動して本を読み終えた私の目に飛び込んできたのが、この本の奥付けに書いてある、見覚えのある名前でした。
“作家のエージェント”というキャッチコピーが印象的な「アップルシードエージェンシー」さんです。
出版社時代に知り合った知人がそこで働いているので見覚えがあり、思わず連絡してみると、
この本は絶版になっていたけれど読者の評判が良かったのを代表の方が発掘し、人気作家さんの監訳で新しく大和書房さんから出版し直ししたところ、今や毎年何度も重版を重ねるロングセラーになったそう。
確かに私の手元にある本も、2006年に発行されて、2014年に第41刷発行とあります。すごいー!
とっても勉強になりました。
この本の制作や出版に関わられた皆様、
そしてこの本を私に教えてくれた弊社社長、
この場を借りて(見てないと思うけどw)、ありがとうございました!
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